イベント詳細

トップ イベント情報 イベント一覧 【開催報告】第3回ミュージアムトーク2023/在日朝鮮人入所者と文学

2023.11.01

【開催報告】
第3回ミュージアムトーク2023/在日朝鮮人入所者と文学
※イベントは終了いたしました。

在日朝鮮人入所者と文学 当日の記録をYouTubeでご覧いただけます。

講師 金貴粉(きん きぶん 国立ハンセン病資料館 主任学芸員) 

日本のハンセン病療養所にはかつて、日本人入所者とともに多くの朝鮮人入所者が暮らしていました。在日朝鮮人入所者は多い時には700名以上に及び、中には全体の1割を占める療養所もありました。在日の発病率が高いのは、この病気が栄養や衛生状態が悪い場所で発病する可能性が高く、植民地支配下において生活水準を低く押し下げられていたためです。
現在、ハンセン病療養所は全国に14か所を数え、これまで多くの患者・回復者による文学作品が生み出されてきました。ただし、戦前の文学活動は、「慰安」を目的に「許された」ものでした。在日入所者たちの多くも閉ざされた社会の中で、俳句や短歌などの短文芸をはじめ、詩、小説、評論に至るまで「日本語」で自己の思いを表現してきました。
「点訳のわが朝鮮の民族史 今日も舌先のほてるまで読みぬ」 これは栗生楽泉園入所者であった金夏日(キム ハイル)さんの作品です。1926年生まれの金さんは、13歳の時に日本に渡りました。しかし、その後、15歳でハンセン病を発病し、1941年に療養所に入所することとなったのです。さらに視覚障がいをもつことになりましたが、金さんは、幼児期に祖国で聞いた童話や民話をもう一度味わいたいと、舌先で読む「舌読」(ぜつどく)を必死で習得したのでした。
金さんの他にも多くの在日入所者の方々が詩や短歌、小説などに自身の思いを残しています。今回は、在日入所者による作品を紹介しながら、そこに込められた思いや背景について読みといていきたいと思います。

 

開催概要

【日時】
2023年11月25日(土)14時 から 15時30分

【開催方法】
会場参加(140人まで)/Zoomウェビナーによる配信(100人まで)
※会場参加の人数を変更しました。
※いずれも申込先着順です。
※9月30日(土) 15:30からお申込みいただけます。
※現地参加をご希望の方は、下記Googleフォームでお申込みください。
※オンライン参加をご希望の方は、Zoomウェビナーでお申込みください。
※新型コロナウイルス感染症対策の状況等によってはオンラインのみの開催になる可能性もありますのでご了承ください。

【参加申し込み受付期間】
2023年9月30日(土)15時30分 から 2023年11月25日(土)14時まで(定員に達し次第締め切ります)

  X(旧Twitter) Facebook

 

在日朝鮮人入所者と文学 開催報告

講師 金貴粉(きんきぶん 国立ハンセン病資料館 主任学芸員)

当日は、会場32人、オンライン61人のご参加をいただきました。
今回は、金夏日(キムハイル)さん[1926年から2023年]、川野順(兪順凡、ユスンボム)さん[1915年から1990年]、金南甲(キムナンガプ、甲田利一)さん、[1927年から1993年]、香山末子(金末子・金末壬、キムマルチャ)さん[1922年から1996年]の4人の詩歌に焦点を当て、植民地支配、入国管理、年金問題、指紋押捺といった時代背景のなかで、どのような表現が詩歌にあらわれたかを読み解きました。最後に、在日朝鮮人入所者によるハンセン病文学の意義をお話ししてしめくくりました。

アンケートより

  • 在日コリアンの入所者のこと、その人たちが残した文学作品のことは知らないことばかりだったので、大変勉強になりました。ハンセン病資料館の図書室で、今日紹介された本を読んでみたいと思いました。
  • 朝鮮出身者の入所者の苦悩が分かった。その思いを文学に昇華する人間としての大きさも理解できてよかった。作品を読んでみたい。
  • 金さんの柔らかで穏やかな語りで語られるお話、胸に沁みることがたくさんありました。紹介していただいた文学からも、在日朝鮮人のハンセン病者の方々の苦しみ悲しみのひだのようなものが伝わってきました。ハンセン病資料館には伺ったことがあるのですが、まだまだ知らないことがたくさんあるのだと改めて思いました。本日参加できてよかったです。ありがとうございました。
  • 舌読の写真は貴館にて拝見していましたが、民族の歴史を読んでいたと知り深い感銘を受けました。今後もこのようなイベントをオンラインで拝聴できるよう是非お願いいたします。
  • とても良いセミナーでした。ありがとうございました。歴史的背景と共にお話をいただき、また4名の方の多くの作品を通じて、在日の入所者の方の苦しみについて理解を深めることができました。やはり、この差別が長年行われていたことがとても悔しいです。ハンセン病患者の家族として、ハンセン病についてもっともっと多くの方に知っていただけたらなと思っています。
  • 金さんの話し方がとても柔らかく、心地よく耳に届きました。4名の文学者の作品を、いつか読んでみたいと思います。ありがとうございました。
  • 在日の方たちがどうだったのか知りたかったのでオンラインでも参加できてよかったです、ありがとうございます。同じ差別偏見を受けている中でも、また差別偏見があったことを悲しく感じました。
    美化しない、ありのままの企画で私たちが無知のままでいないよう教えてもらえると嬉しいです。

…ほか多数のご回答をいただいております。ありがとうございました。

開催の様子

 

≪お問い合わせ≫
国立ハンセン病資料館 ミュージアムトーク担当 mt@nhdm.jp
※休館日およびイベント当日12時以降はご対応できません。事前にお問い合わせください。