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2023.03.03

【開催報告】
第1回ミュージアムトーク2023/
趙根在(チョウ グンジェ)が写した「その人」の物語をよむ
※イベントは終了しました。

趙根在(チョウ グンジェ)が写した「その人」の物語をよむ 当日の記録をYouTubeでご覧いただけます。

講師 西浦直子(にしうら なおこ 国立ハンセン病資料館 学芸員) 

趙根在(チョウ・グンジェ 1933年から1997年)は、在日朝鮮人二世として愛知県に生まれました。1961年、朝鮮にルーツをもつ入所者を多磨全生園に訪ねて以来、約20年にわたって各療養所で撮影を続け、各療養所で撮影した写真は約20,000枚に及びました。入所者と寝食を共にして信頼を得、カメラを向けられることを避けてきた入所者に肉薄した写真を多数残したほか、在日朝鮮人や盲人会の人びとにもレンズを向け、療養所の中の差別や、ハンセン病による障害を避けることなく表現した点も特筆されます。
今年2月より、原爆の図丸木美術館で開催された企画展「趙根在写真展 地底の闇、地上の光 ―炭鉱、朝鮮人、ハンセン病―」(2023年2月4日(土)から5月7日(日))では、これらを中心に200点余りが展示されています。この展覧会のための調査において、趙の足跡や写真をめぐって新たな発見が数多くなされつつあり、他方でハンセン病問題に関する研究や展覧会において、回復後も隔離され続けた入所者による創作活動が盛んに取り上げられるなど、趙根在が残した写真や文章を、撮られた側と撮る側の双方から改めて読み解くための視座が豊かに用意されつつあります。
今回は、趙根在の写真やテキストが、同時代の入所者を集合としてだけではなく「その人」としてとらえた点に注目します。療養所で生きた人の記憶を継承する試みの一つとして、多くの方にご覧いただければ幸いです。


左上 病棟にて 1961年 多磨全生園
右上 監房外壁 1966年 栗生楽泉園
左下 医者よこせデモ 1972年 東京都内
右下 (左より)趙根在、文守奉、金相権 1980年 多磨全生園
(すべて趙根在撮影)

 

開催概要

【日 時】
2023年6月3日(土)14時 から 15時30分

【開催方法】
zoomウェビナーによる配信(定員100名)/会場参加(定員20名)(ハイブリッド)
※3月3日(金)16時からお申込みいただけます。
※会場参加をご希望の方はGoogleフォームでお申込み下さい。
※オンライン参加をご希望の方はzoomウェビナーでお申込み下さい。
※新型コロナウイルス感染症対策の状況等によってはオンラインのみの開催になる可能性もありますのでご了承下さい。

【参加申し込み受付期間】
2023年3月3日(金)16時 から 2023年6月3日(土)12時まで(定員に達し次第締め切ります)

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「趙根在(チョウ グンジェ)が写した「その人」の物語をよむ」 開催報告

講師 西浦直子(にしうらなおこ 国立ハンセン病資料館学芸員)

初めてハイブリッド開催でお届けしたギャラリートーク「趙根在が写した「その人」の物語をよむ」は、会場・オンライン合わせ100人以上のご参加をいただきました。
当日は、趙根在が多磨全生園を初めて訪れた際に回ったルートを、趙根在の写真と回想録「ハンセン病の同胞〔きょうだい〕たち」、多磨全生園の園内図を用いてたどりました。案内者の金奉玉(金子保志、多磨全生園入所者)が語る全生園の「場所と人」が、趙根在の言葉と写真で綴られ、残されている様子をご覧いただけたと思います。
後半では、栗生楽泉園で趙根在が撮影した沢田二郎の写真を、沢田の自伝や小説などと重ね合わせてよみ、趙根在が沢田二郎という「その人」の人生に立ち合い、「その人」の存在を表現したプロセスをたどりました。「ハンセン病療養所」や「ハンセン病患者、回復者」を撮影した写真は多数ありますが、趙根在の写真はその中で、ほかならぬ「その人」の生きる姿を撮影し、一人ひとり異なる人生を歩む人を「ハンセン病患者」とひとくくりにして隔離と排除の対象とした視線に抵抗するものであることをお伝えしました。

アンケートより

  • 趙根在の写真は、常設展、先の企画展「いのちの芽」、丸木美術館での企画展で拝見して、ドキュメント性を超えた、作品でもあると思い感銘を受けました。今回の西浦さんの視点での紹介は、趙根在の足どり、人をどの様に見ていたのか、沢田二郎との関係について深堀りされていて、これから趙根在の写真を見てゆく上で、とても参考になりました。是非いづれ企画展につなげて頂ければうれしいです。(会場)
  • 「その人」の物語という演題の意味が話の進むうちに次第に明らかになっていく様子がとても刺激的でした。 あらためて趙根在の仕事の重要さ、というより観ること、「よむ」ことの重さを考えました。ルポルタージュとはまた異なる写真のように思いました。既存のジャンルに収まらないような仕事は、独学独行のためかもしれないと思いますが、趙の練りあげた方法論についてあらためて考えたいです。(会場)
  • 時の厳しさをありありと感じながらも、写真というツールを通じて、沢田さんはじめその場所で生きていた人の確かな足跡を感じることができる貴重な機会でした。記録写真であり、人間味も滲み出る写真にぐっときました。(オンライン)
  • 趙根在さんの写真が、ハンセン病の方の写真という「属性」ではなく、ひとりひとりの生の生活記録だけではなく、ひとりひとりとの交流というお話をお聞きして、もう一度そういう想いを持ちながらお写真をみたいと思いました。(オンライン)
  • さまざまな水準で存在していた「文脈」を、人類にとっての財産とも呼ぶべき豊かな「水脈」として捉え直す。本当にすばらしいご講演でした。オンラインで拝聴できて幸せです。西浦さん、そしてスタッフの皆さま、ありがとうございました!(オンライン)
  • 趙根在さんが、金奉玉さん、沢田二郎さんらと信頼関係を築き、「その人」の人生そのものを記録した大切さがよく分かりました。沢田二郎さんが趙さんのフィルムに映る自分のすごさを自覚したところに感銘しました。一方、沢田さんが自治会活動をやるなかで、精神的に回復した面もうかがえたので、社会的側面から趙根在の業績を価値づけることも重要と思いました。意義深い催しをありがとうございました。(オンライン)
  • 非当事者であり、差別と排除の仕組みの上で成り立つ社会を容認してきたものが、どのような視点を持ち得るのか。についての真摯な取り組みのひとつだと思いました。趙根在氏がその身をもって写したもの、写したかったものの背景。その身を写されたものの生き様を知る上で、写真以外のテキストであったり地図であったりが手掛かりになる。その手法は、文章を綴らなかった、綴ることを知らなかった人たちの暮らしを知ることにもなるように感じました。(オンライン)
  • 「写す人間と写される人間との合作」という言葉が印象に残りました。「差別のなかの差別」の記録を世に残しておかなければというお二人の思いが、国立ハンセン病資料館で保管・公開される形で引き継がれていることに安堵します。(オンライン)
  • 写真と手記を手がかりに昔の地図を参照しながら、以前の全生園を写真家の足取りでたどる見せ方が興味深かったです。また被写体となった方に、あなたの写真は私の鏡だ、と言われたエピソードに胸が熱くなりました。(オンライン)

…ほか多数のご回答をいただいております。ありがとうございました。

開催の様子

 

≪お問い合わせ≫
国立ハンセン病資料館 ミュージアムトーク担当 mt@nhdm.jp
※休館日およびイベント当日12時以降はご対応できません。事前にお問い合わせください。