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2018.11.23

もうひとつの橋

邑久長島大橋架橋30周年上映会&トークイベント

  • 会 期 2018(平成30)年11月23日(金 祝日)
  • 開 演 14:00~16:00(13:30開場)
  • 会 場 国立ハンセン病資料館 映像ホール
  • 上 映 「もうひとつの橋」1983年 山陽放送制作(47分)
        地方の時代映像祭グランプリ受賞作品
  • ゲストスピーカー 中尾伸治さん(長島愛生園入所者自治会会長)
  • 申 込 事前申込不要
  • 定 員 先着順140名
  • 参 加 無料
  • 協 力 山陽放送株式会社/全国ハンセン病療養所入所者協議会
    国立療養所長島愛生園/長島愛生園入所者自治会/長島愛生園歴史館/国立療養所邑久光明園/邑久光明園入所者自治会/邑久光明園社会交流会館/ほか



”「もうひとつの橋」上映会と「架橋運動への想い」トークイベント”


 今年、瀬戸内海に浮かぶ島・長島と本土側を結ぶ「邑久長島大橋」が架橋30周年を迎えます。わずか30m足らずの海峡にもかかわらず、架橋の実現に足かけ17年もの歳月を要したこの橋は、「人間回復の橋」とも呼ばれました。
 島内にある邑久光明園、および長島愛生園に隔離された人びとと、対岸に広がる「社会」とを物理的に結ぶと同時に、隔離と開放、差別と交流を象徴するきわめて重要な橋と言えます。
 このたび当館所蔵資料から、1983年山陽放送制作のドキュメンタリー番組『もうひとつの橋』の上映と、あわせて作品の舞台となった長島愛生園の入所者によるトークイベントを開催します。
 上映作品は、架橋運動のさなかに制作され、地域の人々の営みを記録した優れたドキュメンタリー作品に贈られる「地方の時代映像祭」グランプリを受賞しました。これまで視聴する機会はきわめて限られてきましたが、今回、山陽放送の協力を得て、同作品の上映が実現します。また、東京で長島愛生園入所者の体験と架橋への想いを聞くことのできる貴重な機会です。
 このイベントが、架橋30周年を迎えた邑久長島大橋を「人間回復の橋」として、あらためて強く認識する機会になればと願っています。



もうひとつの橋 ―邑久長島大橋架橋30周年上映会&トークイベント―

撮影・井上光彦
撮影・南龍一

こちらから企画展のちらしをダウンロードできます。(PDF:1,075KB)
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こちらからダウンロードしてご利用ください。



開催報告

 2018年11月23日(金 祝日)、「もうひとつの橋~邑久長島大橋架橋30周年上映会~トークイベント」を開催いたしました。

 定員140名の映像ホールに、200名の方にご参加いただき、満員御礼となり、開始前から会場は熱気に包まれました。

 第1部は、ドキュメンタリー作品『もうひとつの橋』(1983年、山陽放送制作、47分)上映会でした。
 上映に先立ち、瀬戸内市長の祝辞と、山陽放送カメラマン・宮崎賢氏のメッセージを読み上げました。

 作品は、長島愛生園を舞台に、架橋運動のさなかに制作され、橋が架らない状況下での入所者の暮らしを中心に、
島内にある邑久高校新良田教室の生徒が巣立っていく様子をサイドストーリーとして展開します。見る者に、架橋をはばんでいるのものは何か? と訴える内容でした。

 第2部は、長島愛生園から入所者自治会会長の中尾伸治氏による講演会でした。
 架橋以前の島の状況、架橋運動中の苦労、橋が架って以降の変化などを豊富なエピソードをはさみ、時に笑いも交えながら、参加者を引き込みました。
 講演ののち、会場からの質問にも中尾さんは、ていねいにお答えくださいました。
「入所者も高齢化しているので、体験を直接伝えることは難しくなる。地元の小中学生と交流し、若い世代に私たちの経験を語り継いでもらいたい」との言葉が印象的です。

 会は16:00に定刻どおり終了しました。アンケートの一部を紹介します。


  • 「貴重な映像が数多く使われており、また、当時高校生の方を主題として紹介するということも、取り上げ方にインパクトがあり、韓国の方と日本人の違い、当時の沖縄での通いの治療、幅広く取り上げられていたこと、全てが驚きでした」(上映作品に対して)
  • 「橋はかけられなかったのではなく、かけなかった。予算がなかったわけではないと思う。隔離政策の延長でしかない。園の方々(入所者)が頑張らないといけない図式が悲しい」(上映作品に対して)
  • 「架橋当時の様子を生の声で語っていただき、その頃の雰囲気が伝わってきました。政治とのからみや、地元虫明の人々との関係、愛生園と光明園とのかかわりや、橋ができたことによる家族とのつながりの回復など、幅広く話してくださり理解が深まりました」(中尾さんのお話に対して)
  • 「橋が架っただけで園内全体が明るくなったというエピソードや架橋によって心がつながってくれたというお言葉が印象的でした」(中尾さんのお話に対して)

 イベントを通して、邑久長島大橋の架橋が17年に及ぶ入所者運動によって実現し、「人間回復の橋」として、私たちとの交流の架け橋となっていることを広く知っていただく機会になったと思います。
 今後も、多くの方にご参加いただける企画を考えていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。

国立ハンセン病資料館事業部事業課 学芸員 木村哲也

開会のご挨拶・司会進行(学芸員 木村哲也)
ゲストスピーカー「中尾伸治さん」(長島愛生園入所者自治会会長)講演の様子
会場での質疑応答の様子
閉会のご挨拶(学芸員 木村哲也)